コロナの影響で外出自粛が続くなか、もしかすると愛猫と過ごす時間がいつもより増えている方もいらっしゃるかもしれません。どこかに眠っているおもちゃを探し出したり、家にあるもので猫が喜ぶような遊びを考えたりして有意義に過ごしましょう。
遊びが必要な理由
自然界で暮らす猫は、起きている時間のおよそ3分の1~3分の2を獲物を探して捕らえる狩猟行動に費やします。飼い猫はごはんを与えられるので、活動する遊びの時間が狩猟行動に匹敵することになります。
完全室内飼いの猫が多い中、この時間が十分でないと、運動不足から肥満になったり、退屈が原因でいたずら、場合によっては不適切な排泄や攻撃行動などの問題行動につながることも少なくありません。
猫の遊びは大きく分けて、ひとり遊び、仲間の猫と遊ぶ、飼い主と遊ぶの3種類あります。
ひとり遊び
猫を飼っていると、猫がどんなおもちゃや遊び方を好むのかを試すために、ついつい新しいおもちゃを買って、いつの間にかおもちゃの数が増えてしまいますね・・・。買ったおもちゃよりペットボトルの蓋などで楽しそうに遊ぶ猫を見て気抜けする飼い主さんも多いのではないでしょうか。
猫はひとりでも遊びます。とくに子猫はペットボトルの蓋、ティッシュペーパー、ストローなど・・・周りにあるものなんにでも興味を示します。小さなネズミのおもちゃを見つければ夢中になって“狩猟あそび”を始めます。猫によって興味を示す対象物はさまざまですが、大人になっても好きな遊びの傾向は変わらないようです。ただ、個体差はありますが、猫も大人になるにしたがって子猫の時ほどひとりで遊ばなくなります。とくに何日も床に転がっている対象物には興味を示さなくなります。
猫が好きなひとり遊びの行動は?
- 咥える⇒ 小さなネズミなどのおもちゃを咥えてあちこちに持っていく。(*猫が自分で選んで好きな時に遊べるように、小さな箱などにまとめて入れておくとよいでしょう。)
- 咥えてひっぱる⇒ 太い靴ひもなどを咥えてひっぱる。
- 動かす⇒ ボールなどをコロコロ転がしながら追いかける。わざと取りにくい場所に(家具の下のすきまなど)動かして、取ろうとする。
- におう⇒ 外からもってきた、においのするどんぐり、葉っぱ、羽など、あるいはマタタビやキャットニップのにおいを楽しむ。
- こわす・噛む⇒ トイレットペーパー、ダンボール、ストローなどを歯や爪で噛んだりこわす。
- キックして蹴る⇒ 大きめのけりぐるみを蹴る。
- 音を聞く⇒ 鈴入り・音が鳴るボールやカシャカシャと音のするクリンクルボールで遊ぶ。
- 落とす⇒ テーブルなどの上からものを落とす。(*落とされると困るものは置かないようにしましょう・・・)
- 探索する⇒ 梱包材の入ったままのダンボールや紙袋の中に隠してある、お気に入りのおもちゃ、においのするもの、おやつなどを探す。普段は猫が入れない部屋があるなら(猫に危険なものが置いていない部屋に限ります)、たまに開放して探索させてあげると喜びます。
- 水遊び⇒ 水の入った容器にストローやペットボトルの蓋を浮かべ手ですくって遊ぶ。夏なら氷を浮かべても。(*水がこぼれてもいい場所に置きましょう!)
・・・などです。猫の好みに合わせていろいろ試してみましょう。
電動で動くおもちゃやタブレットで遊べる猫用のアプリなどに興味を示す猫もいるので上手に活用するといいですが、成猫はすぐに飽きてしまうことが多いようです。
遊び感覚でフードを探しながら食べるパズルフィーダー(フードパズル遊び)も是非取り入れてみてください。
仲間の猫と遊ぶ
複数の猫を飼っていると、猫同士でじゃれ合ったりプロレスごっこをしたり、隠れて待ち伏せたり追いかけ合ったりと・・・猫同士で遊ぶ時間も長くなります。ただし、猫同士の関係がうまくいっている場合です。子猫のときから仲間の猫と一緒に過ごしてきた猫は、どれくらいの強さなら噛んでも大丈夫なのかなど、他の猫や人とのつき合い方をはじめたくさんのルールを学びます。
たまに猫同士のプロレスごっこがエスカレートし、少し強く噛みすぎてどちらかの猫が「ギャー」と叫んだりすることもありますが、普段仲良くしている猫同士なら血を流すようなケガをすることはめったにありません。あまり激しくなるようなら、手をパンとたたいたりおもちゃを見せたりなどして一旦気をそらすとよいでしょう。
飼い主と遊ぶ
「うちの猫はおもちゃで誘ってもあまり遊ばない…」という飼い主さんもいらっしゃいますが、子猫のときから飼い主によく遊んでもらった猫は、年をとっても遊びへの興味を失いません。ただ、スイッチが入るまでに時間がかかるようになります。
いつも遊んでいる猫ジャラシに飽きてきたら・・・
- 猫ジャラシの羽がこわれたり飽きてきたら、ひもの先にクリップをつけて、猫のお気に入りのおもちゃを挟んでみましょう。
- これは、こわれた皮のブレスレットの一部です。(^_^;)
- 猫ジャラシのジャラシの部分ではなく、棒の部分を追うのが好きな猫も多いので、棒の先に大きさの合うストローをはめ込みました。
- そして、ストローの部分を敷物の下などからチラチラ見え隠れさせると、ストローを噛んだり手で捕まえようとして追いかけます。
狩猟あそびのポイント
狩りは獲物を見つけて「目で追う」ことから始まります。子猫は獲物となる対象を見つけたら、すぐに追いかけ遊び始めますが、猫も年をとると賢くなります。すぐに追いかけず、まず、獲物の存在を確認し、目で追い、どうすれば無駄なく捕らえられるのかを頭の中で考えてから行動に移します。猫がすぐに動き出さなくても、根気よく待ってみましょう。
市場にはたくさんのおもちゃが出回っていますが、猫一匹一匹、獲物(おもちゃ)の好みもさまざまで、気に入ったおもちゃや遊びのスタイルに強いこだわりを示す猫も多くいます。猫とおもちゃで遊ぶときには、猫の生まれもった狩猟本能をくすぐるように猫が興味を示す獲物のタイプを思い浮かべ、その動きを真似て興味を引くことが大切です。例えば、小さなネズミ、昆虫、トカゲ、ヘビ、小鳥、魚・・・など猫の好みを知ることが大切です。
中には小さなおもちゃを投げると犬のように咥えて持ってきてくれる猫もいます。これは教えなくても子猫のときから持ってきてくれる猫もいれば、他の猫が遊んでいるのを真似してできるようになる猫もいます。
以下猫と遊ぶときのポイントです。参考にしてください。
- “猫は物陰から獲物を狙い、獲物は猫に捕まらないように逃げようとする”ことを念頭に置き、物陰には段ボールやクッションなどを利用します。獲物をチラチラ見え隠れするようにはわせたり、少し近づけてまた遠ざけたり、動きを途中で止めてみたりしながら猫に捕まりそうになったら逃げます。もちろん、猫が満足するように、ときどきキャッチさせてあげることも忘れずに。
- 人の手や足を追わせる遊びは、これらが獲物の対象にならないように、はじめから避けます。
- 猫は常に床にほったらかしのおもちゃには興味を示しません。遊んだら猫の手の届かない場所にしまい、飽きないようにローテーションしながら使いましょう。とくに、ひも、ゴム、針金などがついたおもちゃは、猫が飲み込んだりケガをしないように気をつけましょう。
- 多数の猫を飼っている場合は、仲良く遊べるなら一緒に遊んでもかまいません。ただ、猫は本来単独で狩りをするので、遊んでいる時に他の猫がどこにいるのかを絶えず気にしたり、遊びに加わるのを遠慮したりすることもあります。そんな場合は、別の部屋で1匹ずつ遊ぶ時間を設けてあげましょう。
- 飼い主との絆を深める大切な時間でもあるので、最低でも1日に2回、猫が活動的な時(食前や食後)を見計らって10~15分遊ぶ時間を設けてみてください。
- 遊びを終了するときは、猫の興奮度が“クールダウン”するようにコントロールして、猫が満足するように“獲物”をキャッチさせて終りましょう。レーザーポインターで遊ぶのが好きな猫もいますが、長時間遊ぶとフラストレーションがたまります。満足感を味わえるように、最後は代わりになる“獲物”をキャッチさせてあげるとよいでしょう。
さいごに
猫と遊ぶ時間は猫との絆を深める大切な時間です。 「・・・しながら」片手間に遊ぶのではなく、猫がどんな遊びを好むのかを探索しながら、猫も人も楽しみながら短時間でも集中して遊びたいですね。