猫の食行動に合ったフードの与え方を獣医師が解説~手作りパズルフィーダー 

ネズミをねらう猫

食物を摂取する食行動は、猫に限らず人間を含むすべての動物の基本行動のひとつで、生きていくために不可欠です。ごはんの時間は猫にとっては一番楽しい時間です。飼い主にとっても、お世話をするというだけでなく、猫とふれ合う大切な時間です。猫の食行動に合った給餌方法について考えてみましょう。

自然界の猫の食行動

食事の回数

猫は生まれながらのハンターです。自然界で暮らす猫は、起きている時間のおよそ3分の1~3分の2を獲物を探して捕らえる狩猟行動に費やします。個々の猫の経験などにより個体差もありますが、狩猟は失敗することも多いのでたくさんの時間とエネルギーを要します。

獲物にありつけるのは7~8回に1回だと考えられおり、それでも平均すると昼夜を問わず1日に10~12回小さな獲物を単独で捕らえます。このため飼い猫が少量をちょこちょこと何度も食べたがるのも納得できます。ただ、飼い猫に10回も少量のフードを与えるのはちょっと無理ですね。

猫の食行動に合った給餌方法

それでは、いつでも食べれるようにドライフードを常時置いておく置き餌と時間を決めて一日に数回与えるのと、どちらがいいのでしょうか?

それぞれメリットとデメリットがあります。

毎日決まった時間に一日の食餌量を数回に分けて与える

メリット

  • 飼い主は食餌の量を管理できる。
  • さまざまな種類(ドライフード、ウエットフード、手作りフード)のフードを与えることが可能。
  • 食欲があるかどうかなどすぐに気づくことができる。
  • 多頭飼いの場合も、食べていない猫がいればすぐにわかる。
  • 猫にとって、フードをくれる飼い主とのふれ合いの時間になる

デメリット

  • 決められた時間以外(とくに早朝など)にフードをねだられることがある。
  • 多頭飼いの場合、すぐに食べにこない猫がいる
常時食べれるようにフードを置いておく

メリット

  • 猫が食餌の量を自分で管理できる。
  • 猫が好きな時に少量をいつでも食べれる。

デメリット

  • 飼い主は猫がいつどれぐらい食べているのか把握できない。
  • 置き餌はドライフードのみ可能で、過食・肥満の原因となる。
  • 多頭飼いの場合、早食いの猫やあまり食べていない猫がいる可能性がある。
  • 食事中、飼い主とのふれ合いがない。

もちろん、両方を組み合わせてドライフードを常時置いておき、決まった時間にウエットフードや手作りフードを与えることもできます。この場合もやはり同様にそれぞれのメリットとデメリットがあります。

飼い猫は獲物を捕らえて食べる必要はありませんが、猫の体は元々胃が小さめで少量をちょこちょこと食べるようにできているので、なるべく一日の食餌量を小分けにして、与える回数を多くする方が理想的です。とはいえ、給餌方法は飼い猫の数、個々の猫の嗜好や健康状態、飼い主の生活スタイルなどの多くの要因に左右されます。

もしも、家族の誰かがいつも家にいるような環境なら、置き餌はせずに一日の食餌量を4~5回に分けて与えるのが理想的です。さまざまな種類のフードを与えることができ、猫の食べるところをチェックできます。

飼い主が朝から晩まで家にいないような場合でも、外出前、帰宅後すぐ、就寝前と3回フードを与えることができます。置き餌(ドライフード)をする場合は、ごく少量にとどめ、大量(一日分の)の置き餌はおすすめしません。とくに猫が退屈してすることがない場合は、退屈しのぎに頻繁に食べるようになり、カロリーの摂りすぎ、つまり太り気味になります。そして太りすぎるとジャンプしたり動くことがおっくうになり、より太るという悪循環に陥ります。

パズルフィーダー

”パズルフィーダー”“フードパズル”ともよばれ、猫の習性に基づいて考えられたパズル状の給餌器です。パズルフィーダーを使うと、猫は遊び感覚で頭と体を使って一生懸命フードを取ろうとし、日々の食事も単調になりません。猫の満足度を満たしてあげるだけでなく、早食いの猫や太り気味の猫には、運動量も増えるので理想的です。

市販のパズルフィーダーには、たとえば、転がすとドライフードが穴から出てくるタイプやパズルのようになっていて手で取り出すタイプのものなどがあります。難易度もさまざまで、猫にも器用な猫とそうでない猫がいるので、猫が使ってくれるかどうかは試してみないとわかりません。

以下の市販の4つのパズルフィーダーを試してみました。

パズルフィーダー

中には難易度が調節できる商品もありますが、どれもそんなに難易度は高くなく猫はすぐに興味を示し使ってくれました。慣れてくるとアッという間に食べてしまいます。3番の高さのあるものですが、1匹の猫はアタックして倒すと“ジャックポット”が出ることを学習したので残念ながら使用中止。

いつものドライフードをパズルフィーダーに入れてもあまり興味を示さないようなら、最初は猫の好きなおやつを少し入れて試すとよいでしょう。

家にある不要なものを使ってパズルフィーダーを作ることもできます。「手作りパズルフィーダー」「手作りフードパズル」などで検索すれば、自作のアイデアも膨らむと思います。ペットボトル、不要な空き箱や空容器、製氷皿や100円ショップの”セクションケース”などを利用して自作できます。あまり難しすぎると猫のやる気も失せるので、はじめは簡単に取れるように設定し、猫の反応に合わせて難易度を調節していくとよいでしょう。

以下、簡単に作れる手作りパズルフィーダーです。是非自作のパズルフィーダーに挑戦してみてください。

手作りパズルフィーダー

  1. くつ箱などのふたをカットして、紙コップ、ヨーグルトの空容器、製氷皿をはめ込んだものです。はめ込む容器がちょうど引っかかるように、容器の実際の大きさより少し(5ミリ程度)小さめにカットします。箱の中に何か重たいものを入れると箱が動くこともありません。
  2. お弁当などが入っていた空容器を洗って、プラスチックカップを並べただけです。少し高くなるように、同じ空容器をひっくり返したものを台として両面テープで止めています。
  3. トイレットペーパーの芯とキッチンペーパーの芯を半分に切ったものを、ちょうど合う大きさの空き箱に詰めただけのものです。壁に立てかけると安定感もあり倒れません。
  4. 洗って乾燥させたペットボトルを用意し、転がすとドライフードが穴から出てくるようにカッターやハサミで穴を開けます。これは一辺が1.5cmほどの4角形の穴を3つ開け、切った部分の角で猫がケガをしないよう切り口にはセロテープを貼っています。はじめは大きめの穴を開けると難易度も低いです。穴の大きさや数で難易度が変えられます。
猫はどれも楽しそうに挑戦してくれましたが、とくに3と4は作るのも簡単で猫も長時間遊んでくれるのでおすすめです。

手作りでも市販のパズルフィーダーでも、いくつか用意しておいてあちこちに置いておくと猫も飽きません。とくに外出時に置き餌をする場合は、パズルフィーダーを使えば猫も退屈しません。パズルフィーダーを使用しなくても、一回分のドライフードをさらに小分けにして紙コップや紙袋などに入れて、あちこちに置くだけでも運動不足解消になります。

多頭飼いで気をつけること

猫は通常他の猫とフードを共有しないので、それぞれフードボールを与えられていても、食事中に近くに他の猫がいるだけでストレスを感じていることもあります。猫同士の関係がうまくいっていない場合はなおさらです。他の猫に遠慮して餌場に来れなかったり、その場を早く離れたくて早食いになったりする猫もいます。フードを一気に早食いすると食べると吐いたり、空腹時間が長いと胃液を吐いたりする原因になることもあります。

早食い⇒対策

  • 餌やり場所を少し離して、それぞれの猫が落ち着いて食べれるように配慮する。
  • 早食い防止には、一回分をさらに小分けにしてあちこち違った場所に置いたり、早食いを防止する工夫が施されたフードボウルやパズルフィーダーを使う。

また、多頭飼いの場合は個々の猫の年齢・体型、健康状態や嗜好性を考慮してフードを選択する必要があります。異なる種類のフードを与えても、食いしん坊の猫が横取りしようとすることもあるかもしれません。

横取り⇒対策

  • 猫が他の猫のフードを横取りしないように食事中飼い主が見張る。
  • 他の猫が入って来れないように別々の場所でフードを与える。別室でなくても、廊下をベビーゲートで仕切って猫を離したり、食事中だけ大きめのケージに入れたり、あるいは、どちらか(たとえば太った猫)が上がれないような高い場所にフードボールを設置するなど。
  • あらかじめ登録した猫が近付くと、その猫のマイクロチップや認識タグにセンサーが反応してフードボールのふたが開閉する自動給餌器「シュアーフィーダー マイクロチップ(SureFeed Microchip)」を使用。

まとめ

猫の体には少しずつちょこちょこ食べるスタイルが適しています。一日分のフードを小分けにしてパズルフィーダーを取り入れれば猫も満足感が得られ、運動不足解消にもなります。

多頭飼いの場合は、それぞれの猫が落ち着いて食べれるように十分配慮します。そして、猫の健康管理のために、食欲があるかなど猫の食べるところをしっかり観察して、少なくとも2週間に1度は猫の体重をチェックをしましょう!