コロナパンデミック中の犬・猫の行動の変化

猫と犬

コロナパンデミックは、まだまだ収束しそうにはありませんが、コロナがわたしたち人間にだけでなく、共に生活するペットたちに与える影響も無視することはできません。

この記事は、パンデミック中に実際にあった、さまざまな犬や猫の問題行動の例と専門家たちによる簡単なアドバイスです。最初のケースはわたしも協力させていただきました。オリジナルの記事はこちらからご覧ください。

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体重が増えた猫

太った猫

問題

運動不足や退屈、寂しさのために体重が増えてしまうのは人間だけではありません。

ご夫婦が飼っている愛猫クリアは、コロナ禍にどんどん太ってきました。クリアは空腹のため夜中に飼い主を起こして餌をねだるようになり、さらに太る一方です。飼主は夜中に起こされないように自動給餌器を設置して、一日の適量を何度かに分けて餌を与えるようにしました。その結果、夜中に起こされることもなくなり、クリアの減量に成功することもできました。

クリアが健康的でバランスのとれた食生活を維持しながら、長期的に体重を維持するためにできることはありますか?

アドバイス

*記事中では文字数の関係で簡単なアドバイスをさせていただきましたが、こちらは少し詳しいアドバイスです。

コロナ渦中、家で過ごす時間が増えたことによる運動不足、食べ過ぎや飲み過ぎ、ストレス(ストレスホルモンは食欲増進作用)などが原因で体重が増えたという人が多い中、ペットと過ごす時間も増えたため、ペットにおやつなどを与えすぎてペットの体重も同じように増えたというケースも少なくありません。

これまで日中はいなかった家族のメンバーが、在宅ワークでペットにかまう時間が長くなり、ついついフードやおやつを与えすぎたり、家族のメンバー複数が、知らない間に別々におやつやフードをあげていたりすることも大きな原因でしょう。

このケースでは、愛猫クリアちゃんが、家にいる時間が長くなった飼い主さんに甘えてねだるとフードやおやつをもらえることを学習してしまい、飼い主さんの方もねだられる(とくに夜中など)ついつい根負けしてフードをあげてしまって、この行動が徐々に強化されてしまったと考えられます。そして、体重が増えると動くのがおっくうになりエネルギーを消費しないので、さらに太ってしまうという悪循環に陥ります。

体重をキープするポイントは、

① 一日の食餌量をきっちりと量り、なるべく小分けにして数回に分けて与える。

フードの種類にかかわらず、家族で話し合って、一日分の適切なフード量を朝きっちりと量っておき誰が与えてもいいように予め準備しておきます。おやつの量も決めておきます。そして、それ以上の量のフードをねだられても無視してその要求には応えません。

夜中に起こされる原因が空腹で餌を催促しているのなら、ペット用自動給餌器を利用するのもよいアイデアです。この場合も一日の給餌量をしっかりと決め、給餌時間・給餌回数は飼い主さんのライフスタイルに合わせて調節します。こちらのペット用自動給餌器は使いやすくておすすめです。

この自動給餌器はWi-Fiに接続してアプリで操作するタイプで、上が旧モデル(MINI)、下が新モデル(SOLO)です。MINIは5gから50gまで5g単位SOLOは10gから50gまで10g単位で、一日最大10回まで給餌時間・給餌回数を設定することができます。夜中や早朝のごはんの催促を防いだり、フードを少量ずつ小分けにして与えることで肥満を予防したりすることができます。外からでも簡単に設定を変更することができ、外出先からペットの様子を確認できるペットカメラと組み合わせると(*カメラ付きタイプもあるようです)、”熟睡中なので一回フードを出すのをやめて、起きてお腹が空いてそわそわしだした時にフードを出してあげる…”など臨機応変に対応することもできとても便利です。非常時には乾電池でも利用が可能です。実際に使ってみて気になった点は、粒の大きなドライフードだと出てくる量に多少の誤差(少なめに出ます)があることです。予め確かめておく必要があります。また、設置場所を考えないと猫によってはアタックして倒そうとすることがあります。猫を多頭飼いしている場合は、猫の数だけ必要になるのでコストもかかることになります。MINISOLOを使っていますが、新モデル(SOLO)は1,46kgで、2重構造になっている旧モデル(MINI)2,17kgよりずいぶん軽くなり、ステンレスのお皿が取り外しやすくなっています。ただ、個人的にはMINIの方が5グラム単位で給餌量を設定でき、設定の仕方も分かりやすくて気に入っています。

② “パズルフィーダー”を利用する。

パズルフィーダーは、猫の習性に基づいて考えられたパズル状の給餌器です。猫は遊び感覚で頭と体を使って一生懸命フードを取ろうとします。市販のものもありますが、簡単に手作りすることもできます。猫の満足度を満たしてあげるだけでなく、早食い防止にもつながります。

③ 猫が活発に動くような環境を整え、猫と遊ぶ。

猫が太る原因は、食べすぎか運動不足です。猫がジャンプやキャットウォークを楽しめるように、部屋の高さを利用して段差のある空間をつくったり、キャットタワーを設置することで運動量(エネルギー消費)も増えます。

動くのがおっくうになっている猫は、飼い主さんが積極的に猫と遊んであげることが大切です。とくに寝る前にたっぷり遊んであげると猫も満足して、夜中に起こされることも少なくなるはずです。

④ 少なくとも2週間に1度(変化があるときはもっと頻繁に)猫の体重をチェックして、体重の変化に応じて適量のフードを与える。

体重の変化に応じて、食餌の摂取カロリーをコントロールします。体重を減らしたい場合は、フードの量を減らすか、エネルギー量の少ないフードに切り替えて総カロリー摂取量を減らします。ただし、急激なダイエットは体に負担をかけるので、1週間に1~2%の体重減少を目指して、焦らずに時間をかけてとり組みます。

犬や猫が太りすぎるとなぜ悪い?~肥満に関連した病気とその解決策

飼い主につきまとうようになった犬

ついてくる犬

問題

愛犬のダックスフントのロドニーは、どこへ行くにも飼い主に付きまとい、一緒に寝ようとベッドの中に潜り込みます。パンデミック中のロックダウンで、この依存関係はさらに深まりました。パンデミック中、飼い主はほとんどの時間を自宅のオフィスでドアを閉めて過ごしていましたが、ズームコールに接続すると、ロドニーはドアの向こう側でひっきりなしに鳴き始めます。

その後、ハリケーン・アイダに遭遇した飼い主はロドニーとともにペット可のホテルに避難したのですが、ロドニーは散歩中にオシッコすることを拒み、代わりに部屋の床でオシッコするようになってしまいました。

ロドニーの依存度を下げ、慣れない環境でも快適に過ごせるようになるにはどうすればいいのでしょうか?

アドバイス

犬は群れで行動する動物なので、飼い主についていくのは当然のことです。しかし、それが不健康な愛着へと変わり、飼い主が家にいる時間が長いロックダウン中に悪化してしまうことがあります。

飼主は、、ロドニーが飼い主のパーソナルスペースを尊重することを教えなければなりません。ロドニー専用のベッドを用意し、そこでリラックスして待つことができるようになるまで「マテ」のコマンドを教えなければなりません。最初は難しいかもしれませんが、根気よく教えることで、飼い主がオフィスで仕事をしている間もおとなしく待つことができるようになります。慣れない場所に行くときもロドニーがリラックスできるように、飼い主はロドニー専用のベッドを持っていくとよいでしょう。

分離不安になった猫

待つ猫

問題

1歳になる愛猫のミスティは、パンデミック以前の生活を知りません。そのため、ミスティは飼い主夫婦にとてもなついており、飼い主以外の人に接したことがほとんどありません。家でもミスティは夫婦のどちらかがいる部屋にいます。ロックダウンが解除された今(夫婦はオフィスや用事で不在)、ミスティは不満そうに玄関で二人の帰りを待っています。たまにドアにひっかき傷があったりします。

飼い主は、留守中のミスティの様子をペット用のカメラで見守りコミュニケーションをとることができます。留守番中のミスティの不安を和らげるために、他に何かできることはありますか?

アドバイス

人間と同じように、運動は猫のストレスを軽減することができます。おもちゃ(キャットダンサー、猫ジャラシなど)を使って飼い主が毎日猫と遊んであげることが大切です。キャットタワー、ひとりで遊べるおもちゃ、窓際のに外を観察できる場所、フードパズルなどを用意することで、猫はひとりの時間を楽しむことができます。また、ミスティには規則正しい生活に慣れてもらう必要があります。食事の時間、遊びの時間、抱っこの時間、トイレの掃除などを毎日同じ時間に行うようにしましょう。

ケガをしてしまった犬

フレンチパグ

問題

愛犬のフレンチパグのテイターは、椎間板ヘルニアを患っており、数週間にわたって鎮痛剤を服用していました。足を引きずったり、動こうとするとかん高く叫んだりするなどの症状があります。症状が回復した後、飼い主は職場復帰に伴い、分離不安に悩まされていたテイターをペットデイケアに預けました。そこで、おもちゃの取り合いをしてる他のフレンチパグを止めようと跳びかかり、再び背中を痛めてしまいました。

飼主は、手術の代わりに鍼治療などの代替療法を試すことにし、テイターは再び歩くことができるようになりました。テイターがケガをしないで健康を維持するためできることはありますか?

アドバイス

テイターの首輪をボディハーネスに変え、滑りやすい床には滑り止めのついたラグやヨガマットを敷くことで、ケガのリスクを減らすことができます。デイケアでは、監視下で年上の小型で落ち着いた犬と遊ぶとよいでしょう。レーザー治療と鍼治療は、炎症を抑え血行を良くします。ハイドロセラピーを試してみるのもいいでしょう。水中で楽しく行うことができるハイドロセラピーは、筋肉の緊張と血管の健康を維持し、時間とともに起こる退行性変化を遅らせるためにも重要です。

お客さんを怖がる猫

隠れる猫

問題

ご夫婦が1歳になる猫のソージュを手に入れたのは、2020年6月の英国のロックダウンの最中で、ソージュがまだ6週間だった頃です。ロックダウンのため、ほとんど訪問者がありませんでした。今では、配達人がドアベルを鳴らすと、ソージュは音に怯えて、クッションの下、キャビネットの中、さらにはバスルームのシンクの中など家の隅々に隠れてします。時には何時間もそこでじっと静かにしていることもあります。友人が遊びに来たときも同じような行動をとります。最近、親しい友人が猫を連れてきたときは、ソージュは背中を丸めて威嚇しました。

飼主はソージュの音や訪問者に対する恐怖が悪化しているのではないかと心配しています。お客さんが来てもソージュがリラックスできるようになるのはどうしたらいいでしょうか?

アドバイス

まず、音に対する恐怖をなくすために、電話、ドアベル、クラクションが鳴る音など周りの典型的な音をたくさん録音します。そして、それらの音声を朝晩1時間ずつ流します。1日目は、ソージュにはほとんど聞こえないくらいのボリューム1の音で再生します。2日目は、音量1で15分再生した後、音量2に上げて45分再生します。3日目には、まず音量2で再生し、次に音量3に上げます。数日かけて、ソージュがその音に反応しなくなるまでゆっくりと音量を上げていきます。成功のための重要な鍵は、プロセスを急がないことと セッション中に大きな音が発生しないようにすることです。

さいごに

ロックダウン中に家にいる時間が多くなり、人間の都合で安易な気持ちで犬や猫を迎え、ロックダウンが終わるや否や飼育放棄する飼い主も増えています。中には飼い主の収入が不安定になり経済的な問題で飼育ができなくなるケースもあるでしょう。

ロックダウンが終わり人々が通常の生活に戻り始め、24時間一緒にいられる日々が終わると、ペットにも様々な影響が出ています。孤独や不安を感じることが多いロックダウン中に、ともに暮らすペットはわたし達の不安を軽減して、困難な時期を支えてくれる大切な存在です。そんなペットたちへの感謝の気持ちを忘れずに、ささいな変化にも早めに気づいて対処してあげたいですね。